第1回 SOEL COMMUNITY ラウンドテーブル開催レポート

SOEL COMMUNITY ラウンドテー ブル(座談会)は、
皆様が介護現場で取組まれているこ利用者支援(自立支援・重度化予防)について話し合い、 「明日から介護現場で取組めるケア」の情報共有・意見交換を座談会形式で行います。

第1回開催テーマ
福祉用具を活用した
  自立支援・重度化予防の実践と課題

この度ラウンドテーブルのオンライン開催にあたり、ご参加者の皆様には開催テー マに沿った3つの議題につ いてご回答を準備していただきました。そして、第1回・2回 SOEL COMMUNITY ミーティングにて事例を発表していただいた、青森県の特別養護老人ホーム正寿園 丸山 拓郎 氏(主任機能訓練指導員・柔道整復師)を口切りに座談会の幕開けとなりました。

【 Agenda1.】施設内でご利用者の移乗方法について取り決めていること

社会福祉法人平元会
特別養護老人ホーム正寿園

正寿園では2つあります。それは安全とクオリティーです。移乗における自立支援と危険は隣り合わせにあると思います。そのため移乗は安全を最も優先に考え、個別に効果的な移乗方法を検討しています。クオリティーについては、介護リフトを活用した緊張緩和の効果を最大限に活かすため、移乗時にこ利用者が良い姿勢でリラックスできるよう、スリングシートの敷き込み技術にこだわっています。

ノーリフティングケアを推進してるので、抱え上げない介助をすること。ご利用者に合せた正しいアセスメントをすることです。 ただし、座位保持が不可、移乗が不可の状況で原則リフトを使うことになっているので、リフトを活用するタイミングにつ いては今後の課題です。

益財団法人ニッセイ聖隷健康福祉財団
有料老人 ホーム松戸ニッセイエデンの園
社会福祉法人平元会
特別養護老人ホーム寿幸苑

大きな目標はケガ・事故がなく、安全を最優先に。そして、職員、利用者双方が楽なケアをすることです。職員が介助に力を使えば、ご利用者はそのカに返し、耐えなければなりません。そうなると緊張が高まり拘縮が増強してしまいます。
リフト活用で共通して言えることは、しっかりと評価し手順チェックしてケアを進めれば、最終的にご利用者がとてもいい表情になります。安心・安全の先には笑顔があり、会話が増えることで、呼吸の状態が良くなり、誤聴性肺炎の予防や口腔ケアにも繋がります。

【 Agenda2.】ご利用者の ADL 維持・改善のための福祉用具活用方法

社会福祉法人平元会
特別養護老人ホーム正寿園

この問いに対する私の答えは、絶対的に『座位」です。
車椅子がご利用者に合っていないため、動きづらい状況を作ってしまうと、いくら移乗の取組みを頑張っても ADL 維持・改善は難しいと思います。正寿園ではご利用者110名中、87名が車椅子を利用しています。約8割の方を対象に、車椅子上で 動ける状態をつくることを移乗の段階から取組んでいます。車椅子に移った後の生活動作を自分の意思と力で多く達成できれば、ADL の維持・改善が非常に期待できます。だからこそ移乗のクオリティにこだわる必要があると考えています。

座位姿勢は大切なことだと思います。
ご利用者が起きる前に15分くらいリフトを使用して、緊張を落としてから食事をとってもらいました。緊張があると食事中に手を出せない方もいましたが、緊張が緩和することでしっかりと食事をとっていただけました。

社会福祉法人茶屋の園
特別養護老人ホームたちばなの園白糸台
医療法人かぶとやま会
久留米リハビリテーション病院

当院では各病棟にリフトを導入し、早期離床・離床時間の延長に取組んでいます。車椅子で座位や立位を取ることが ADL 維持・改善の第一歩であると考え、併せて寝かせっきり、座らせっきりを予防するためにもリハ室に天井走行リフト等を設置しています。
また、当院には大部屋にテレビがなく、食堂に大型テレビを設置することで患者さんに離床してもらっています。昔は人的介助による移乗でしたが、リフトを活用することで安全に離床ができ、離床時間が伸びることに伴い、自宅での生活に近づける効果が期待できています。

【 Agenda3.】自立支援と重度化予防について、参加施設にお聞きしたいこと

社会福祉法人平元会
特別養護老人ホーム寿幸苑

介護報酬の経口維持加算のため、座位をとって口から食べることを積極に進めています。良い座位姿勢をとるための車椅子とやはりテーブルが重要だと思いますが、いいテーブルがあれば教えてください。

ピジョンタヒラ社の「ここあ®」は、4人用テーブルで天板が4枚に分かれており、個々に合わせて高さを変更することができます。個室での食事や個食用には、ご利用者がベッド端座位で足を降ろせて、車椅子に干渉しない、脚のフレームがU字型になっているベッドサイドテーブルがあります。

日本ケアリフトサービス株式会社

この度初回となるラウンドテーブルでは、
皆様が日頃から熱心に取組まれている自立支援・重度化予防の実践と課題について、意見・情報交換を行っていただきました。当会を機に明日からのケアが向上し、ご施設様同士の輪が繋がること祈念しております。

ご参加いただきましたご施設の皆様、
貴重なご意見いただきありがとうございました!

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